病気

見た目はスリム、でも血管内は?

肥満じゃなくてもスタイルよくても、脂質異常症の可能性あり⁉

モデルさんみたいにすらりとしたボディに誰しも一度は憧れたことがあるのではないでしょうか?でも、きれいな血管に憧れて努力する人は見かけません。一般的にはスリム=健康のイメージがありますが、脂質異常症は見た目だけではありません。

肥満」とは、身長と体重から計算されるBMI(体格指数)が25以上の場合をいいます。しかし、この計算では筋肉隆々で体重が重い人も肥満と診断される場合があります。しかし、BMI25以上かつ「高血圧」「高血糖」「痛風」「脂肪肝」などの病気が一つ加わると「肥満症」と分類されます。更に、ウエスト周りが男性85cm以上、女性90cm以上に「高血圧」「高血脂」「高血糖」の兆候が2つ以上加わると「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」と診断されます。

ポイント

脂質異常症は、メタボリックシンドロームや肥満症が有る無しに関わらず、血液中の脂質の値が基準値より高い状態です。

肥満と肥満症と脂質異常症

肥満には、皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)と、内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)に大きく分けられます。皮下脂肪型は女性に、内臓脂肪型は男性に多く見られます。それぞれ健康へのリスクが異なり、内臓脂肪型は糖尿病、脂質代謝異常、高血圧のリスクが高まります。

肥満と、肥満症と脂質異常症は違うものですが、どちらも動脈硬化の可能性が高く、心筋梗塞や脳卒中のリスクとなります。脂質異常症は見た目ではわからないため、定期的な血液検査が必要です。

肥満や脂質異常症、何が悪いの?

BMIでは筋肉質なのか、脂肪過多なのか判断がつきません。定期的に体脂肪量を測定しましょう。体脂肪率は皮下脂肪を含むためにメタボリックシンドローム等の診断基準に採用されていませんが、食べ過ぎによるカロリー過剰摂取の目安となります。また、体重による負荷で関節や背骨などに影響を起こしやすくなり、睡眠時無呼吸症候群が起こる可能性もあります。

アディポネクチンを増やそう

脂肪細胞から分泌されるタンパク質のアディポネクチンはインスリンの働きを正常に戻す作用、動脈硬化を防ぐ作用、心臓を保護する作用などの有益性が報告されています。アディポネクチンは脂肪組織が増えると減少し、脂肪組織が減ると増加するという報告があります。肥満や脂肪蓄積によってアディポネクチンが減少すると、糖尿病、高脂血症、動脈硬化が引き起こされるという報告があります。アディポネクチンは食事や運動で増やすことができます。しかし、血圧が高くアディポネクチンが高い人は脳血管疾患のリスクが高くなるという報告もあります。高血圧やメタボリック症候群、肥満症などに該当する人は、対策を取りましょう。

無駄なものを蓄積すると、歳を重ねてから不調が出てきます。見た目だけにとらわれず、定期的に検査を受けることをお勧めします。

参考文献

・日本内科学会雑誌第105巻第9号 脂肪細胞の新たな視点
・日本肥満学会ホームページ:肥満と肥満症
・厚生労働省e-ヘルスネット 脂質異常症、肥満と健康、メタボリックシンドロームの診断基準