病気

腎臓は若々しさのカギとなる?

腎機能の低下は老化を速める?

お酒を飲みすぎたら肝臓、食べ過ぎたら胃や腸、激しい運動をしたら心臓や肺など、時に臓器の存在が気になります。しかし、食べ過ぎたから、飲みすぎたからと腎臓を気にしたことがあるでしょうか?腎臓は体重の約60%の水分を24時間年中無休で絶えずきれいにしてくれる「排泄器官」です。腎臓の排泄能力が低下すると、体内に不要な物質が毒素となり、新陳代謝が低下し、水分バランスが崩れて、乾燥、シミ・シワ、吹き出物、肌が荒れるなど、若々しさを保てなくなります。

腎臓って何をしてるの?

腎臓は、0.1mm/個の糸球体が1つの腎臓に100万個存在していると言われていますが、日本人は欧米人に比べて2/3程の数しかありません。また、出生時体重が軽いほど、糸球体の数は少ないと言われています。この糸球体は毛細血管でできていて、絶えず不要物の排泄と必要なものの選別を行っています。

腎臓は排泄だけでなく、腎臓にながれる血液の量に合わせて血圧を調節したり、骨を形成するビタミンDを活性化したり、血液を造るよう指示するホルモンを出したりします。加齢とともにビタミンD活性が弱まると骨粗しょう症のリスクも上がり、体内外共に若々しさが保てなくなります。腎臓はもはや「排泄器官」ではなく「体内調整器官」と言っても過言ではありません。

腎臓は2つあるから大丈夫?

からだにとって大切な器官は2つずつあると言われています。腎臓はその中の一つです。一つが無くなったとしても残りの一つで役割を果たすことができます。しかし、腎臓は繊細な臓器で、血糖が高い状態、脂質異常、高血圧、動脈硬化や加齢によって腎機能は低下していきます。糸球体を形成している血管が損傷を受けることで、排泄と体内調整がうまくいかなくなるのです。

腎臓の機能が約60%未満まで低下すると、慢性腎臓病(CKD)と診断されます。慢性腎臓病が進行すると、不要な物質が体内に蓄積してしまい、生命維持ができない状態の腎不全に陥ります。腎不全になると、透析や腎臓移植をしないと生きることができません。日本では1300万人以上がCKD状態であり、毎年約4万人が透析を始めています。

血液透析は週に3回通院し、1回約4時間、ベッド上で透析を受けます。腹膜透析は場所を選ばず、1日に3~5回、1回30分かけてお腹の中に透析液を出し入れします。どちらの透析も天寿を全うするまで続きます。腎移植は、年間2000例ほど行われています。

腎機能を高めるにはどうしたらいいの?

腎臓は沈黙の臓器。徐々に低下した腎機能を元に戻すことはできませんが、日々の健康管理によって機能低下の速度を抑えることはできます。

ポイント

より長く若々しくいるためには、健康管理と定期的な腎機能チェックをお勧めします。

・定期的に腎機能のチェックをしましょう

・プロテインの摂りすぎに注意しましょう

・水分は適度に摂りましょう

・塩分を控えましょう

・たばこをやめましょう

・ストレス解消に努めましょう

・血糖値や血圧が上がらないようにしましょう

コーヒーを日常的に飲んでいる人は、飲まない人達よりも腎機能が高いと言われています。

からだにとって要らないものをスッキリ出して、若々しさを保ちましょう。

参考文献

・一般社団法人 日本腎臓学会 腎臓お役立ちページ
・一般社団法人 日本移植学会 データで見る臓器移植