病気
私たちは脳の指令で生きている!
最終更新 / 2024.09.06
脳はからだのコントローラー
脳は、私たちの動きや考え、生命維持に大事な機能のコントロールをしています。こころが揺さぶられるのも、こころが沈むのも、心地いいのも、脳が感じているのです。脳が病んだら、からだの歯車が狂います。その中でも脳卒中は人生に支障をきたしてしまいます。
脳卒中とは何ですか?
脳卒中は、脳の血管が破れたり、詰まったりして脳の血流に障害を来して様々な症状を起こす病気です。脳卒中(脳血管障害)の最大の原因は高血圧です。動脈硬化によって血管が詰まる脳梗塞、高血圧や脳アミロイド血管症によって血管が破れる脳内出血に分けられます。
脳卒中 | 脳梗塞 76.4% | ラクナ梗塞 | 脳内の細い動脈の閉塞 |
アテローム血栓性脳梗塞 | 頭蓋内外の大きな血管の狭窄 | ||
心原性脳梗塞 | 心臓内でできた血栓が詰まる | ||
脳内出血 23.6% | クモ膜下出血 | 脳動脈瘤の破れ | |
硬膜下血腫 | 外傷によるもの |
くも膜下出血は女性が67.4%を占め、脳梗塞と脳出血は男性が約6割弱の比率を占めます。
脳梗塞は、高血圧、不整脈、糖尿病、喫煙、肥満などの生活習慣病が危険因子となります。この中で、高血圧が完全に予防できれば、脳卒中は約半分に減ると考えられています。また、体質などの遺伝的要因に生活習慣の悪化やストレスが加わって危険因子が形成されます。
ポイント
脳卒中の最大の原因は、食塩の摂りすぎによる高血圧であるため、減塩が第一となります。また、たばこや大量の飲酒は脳卒中全体のリスクを高めます。冠動脈疾患と同様、血流が組織に十分に届かずに細胞が死んでいくと元には戻りません。
動脈硬化を予防して、血管の機能を維持していきましょう。
脳は、いくつも分野が分かれており、血栓や塞栓、出血した部位によって症状が違います。どの部位が損傷を受けるかによって、発症する障害が変わってきます。
損傷部位 | 症状 |
前頭葉 | 物事を順序良くできない、呂律が回らない、片側の手足が麻痺する 言葉が話せず理解ができない |
頭頂葉 | 損傷部の反対側の空間認識ができない |
側頭葉 | 言葉の理解ができない |
後頭葉 | 損傷部の反対側の視野が欠ける |
小脳 | 正確な運動やリズム、バランスが取れなくなる、呂律が回らない |
脳卒中になってしまったら?
日本人の死因の第4位で、寝たきりの原因の第1位です。脳卒中は、認知症、筋肉量減少、骨折、転倒のリスクも高いです。後遺症が出たら元通りになる事はありません。
また、脳卒中の症状は突然現れることが多く、言葉を発せられない、腕に力が入らない、しびれなど「腕」「顔」「言葉」に異常がみられる場合は、すぐに救急車をよばなければなりません。脳卒中になると、手術が終わっても日常生活に戻れるまでの入院期間が長く、退院後も定期的なリハビリや通院が必要になります。
入院日数は平均約2か月で、医療費総額はリハビリの期間にもよりますが、約100万円以上です。支払額は保険の負担割合などで下がりますが、通院費用や福祉用具などの費用も必要になります。
脳卒中の回復には時間と努力がかかります。しかも加齢によって機能の低下が加速するためリハビリテーションは毎日行う必要があります。
定年を終えてこれから余生を楽しもうと思った矢先に脳卒中になると、その先の人生設計が思い通りに行かなくなります。適切なケアとサポートを受けることで生活の質の向上は期待できますが、家族への負担も計り知れません。より長く心身共に健康な状態でいられるように、早めに検査を受け、生活習慣を改善していきましょう。
脳ドッグを受けましょう
健康診断の脳卒中に関連する項目は、血圧と生活習慣病検査しかありません。脳の精査をしたい場合は脳ドッグ(MRIや頚部超音波検査)を自己負担(約2~5万円)で受けることをお勧めします。30歳以上の成人において、約3%の頻度で脳動脈瘤がみられますので、家族に脳卒中の方がいる方は早めに検査を受けてもよいでしょう。
健康への投資は、予防、早期発見や治療につながり、将来的な病気リスクを回避できます。健康への投資は、将来の医療費出費の削減につながります。
・厚生労働省e-ヘルスネット 脳血管障害・脳卒中
・日本脳卒中データバンク報告書2020
・国立研究開発法人 国立循環器病研究センターホームページ 患者の皆様へ 脳卒中