病気

認知症まであと何年?

認知症は18~39歳に発症する若年期認知症と40~64歳で発症する初老期認知症を総称した若年性認知症と、65歳以上に発症する老年性認知症があります。

いろいろな認知症

認知症は、主にアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の4つに分類されます。

認知症は、性別、職業、出生地、学歴等関係なく、誰にでも起こり得る病気です。

認知症になる可能性は?

「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、65歳以上の高齢者のうち、2012年時点では認知症の割合が15%(約462万人)でしたが、2025年には20%に増加すると予測されています。

認知症と診断される前段階のMCI(軽度認知障害)の高齢者は約400万人(高齢者全体の13%)で、年間10~15%が認知症に移行すると言われています。

どうして認知症になるの?

アルツハイマー型認知症や血管性認知症は、高血圧、糖尿病、脂質異常などとの関連があるとされています。

アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβやリン酸化タウという蛋白質が蓄積して脳の神経細胞を損傷させることで発症すると考えられています。アルツハイマー型認知症は、女性は男性の約2倍高い発症率と言われています。男性より女性が多い理由は、脳神経保護作用のあるエストロゲンが閉経に伴い減少すること、寿命が長いことなどが挙げられています。

血管性認知症は、脳卒中によって神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなって起きる認知症です。脳卒中の後遺症が伴うことも少なくなく、日常生活にも支障をきたします。

認知症の兆候は

認知症は、脳の病気によって脳神経の働きが低下して記憶や判断力などの認知機能が徐々に低下し、社会生活に支障をきたした状態です。もの忘れから始まり、段々と記憶できなくなったり、記憶が消えたり、記憶が入り乱れたりして、次第に今までできていたことができなくなっていきます。

初期段階:穏やかな変化の風
新しい記憶が残らない同じことを何度も聞く、さっきの出来事が記憶にない、
物が見つからない
日時や現在値がわからない夜中に朝食の準備をする、夏でも冬服を着る、迷子になる
取り繕いをする自分が間違っていることを誤魔化す、曲げない
中期段階:記憶の波に揺れるとき
やり方がわからないボタンが留めれない、服の着方がわからない、
携帯やリモコンが使えない
見えているものが認識できない目の前のお茶を取るように言っても、お茶がわからない
行動が変わる姿勢や歩き方が変わる、動作が緩やかになる、表情が乏しくなる
末期段階:やさしい眠りへの準備
人格が変わる穏やかな人が攻撃的になる、活発な人が無気力・無表情になる
会話ができない相手の会話の内容を理解できない、言葉を発することができない
寝たきりになる食事、排泄などの行為ができなくなる、眠っている状態が増える

認知症を予防しよう

血管性認知症は、生活習慣病が主な発生要因のため、生活習慣の改善に向けた取り組みが必要です。

アルツハイマー型認知症は、発症する25年ほども前からアミロイドβとリン酸化タウが溜まり始め、脳神経がダメージを受け始めて、約10年前から海馬が徐々に小さくなり始めるといわれています。

慢性的な炎症があると発生する炎症性サイトカインという物質が、脳に病原体を侵入させやすくします。アミロイドβは、病原体から脳を守るために分泌されることがわかりました。慢性的な炎症の例として、歯槽膿漏、歯周炎、顔や口唇ヘルペス、水虫、カビやダニなどが該当します。これらを放置することで、アミロイドβが分泌され続けると言われていますので、早めに治療をして体内に炎症状態を残さないようにしましょう。

また、アミロイドβに打ち勝つ脳の強化として、こまめに掃除をする、栄養をしっかり摂る、運動を継続する、しっかり眠って脳のごみ処理をする、脳を使う行動(本を読む、サークル活動、色んな人と接する、刺激を受ける)を行うことも推奨されています。認知症の予防は発症してからでは遅く、20代からの取り組みも必要です。

現時点では、アルツハイマー型認知症の新薬は完全に元通りにするものではありません。1日でも長く発症しないように予防対策に努めるようにしましょう。

ポイント

健診項目に含まれていない歯科検診や、歯の定期的なクリーニングで歯周病予防に努めましょう。ネガティブな思考を避け、人生を楽しむ活動をしましょう。

参考文献

・厚生労働省e-ヘルスネット 認知症

・厚生労働省 認知症対策

・政府広報オンライン 知っておきたい認知症の基本