病気
お塩の摂りすぎで胃がんに⁉
最終更新 / 2024.09.17
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誰にでも起こりうる可能性が高いがんです
胃がんは誰にでも起こりうる可能性の高いがんで、年間12万人超の人が診断を受けています。男女比は約2:1で、50歳を超えると人口10万人あたりの罹患率が増加します。診断を受けた人が5年間の間に死亡する確率は6割を超えており、約4万人が命を落としています。
どうして胃がんになるの?
原因はいくつかありますが、一番の原因はヘリコバクター・ピロリ菌の感染です。井戸水やハエなどから付着した食品の摂取などで起こるようです。胃酸が弱く免疫機能が不十分な時期に経口感染すると推測され、胃がん患者さんの 99%にヘリコバクター・ピロリ菌の感染を認めています。
他にも食生活との関連が注目され、男性においては、食塩摂取量が高い群は胃がんのリスクが約 2 倍であったという報告があります。中でも塩蔵物(いくら、たらこ、塩辛、練ウニなど)は、胃の中のナトリウム濃度が高まると胃の内壁を刺激、粘膜を損傷して胃炎や胃潰瘍となり、発がん物質(塩蔵加工で生成される化学物質)の影響を受けやすいと考えられています。
また、喫煙は胃粘膜の血流が減少したり、胃酸過多を起こすため、非喫煙者に比べて 1.6 倍もの胃がんのリスクが高くなります。
胃がんになったらどうなるの?
胃がんは、分化型がんと未分化型がんに大別されます。
分化型がんはがん細胞がまとまりを作るため、進行は緩やかですが、未分化型がんはがん細胞がまとまらずに胃の壁に浸み込むように広がっていくため進行が速い傾向があると言われています。スキルス胃がんは、未分化型が多くを占めます。
胃がんは、粘膜下層にまで達していれば手術で胃の一部もしくは全部を切除しますが、早期発見であれば内視鏡治療で済む場合があります。
胃の役割は、食べた物を消化して腸に送ることです。消化には消化酵素や胃酸が必要になり、胃が空の時は胃粘液で胃を保護します。がんができてしまったら、これらの機能が十分果たせなくなります。そのため、胃の痛み、胸やけ、吐き気、胃の不快感や違和感、食欲不振が続きます。
また、がんから出血していると貧血になったり、黒い便が出ることもあります。
食事を呑み込むときの喉のつかえ感や体重減少を認める場合は進行性の胃がんの可能性もあります。
胃がんは早期の段階では自覚症状がほとんどなく、進行しても症状に気付きにくい場合があります。
内視鏡手術だけで済めば、治療後の日常生活に影響はありません。しかし、胃を切除した後は、胃の容量が小さくなり、その分機能が落ちるため食生活を改善する必要があります。また、胃に留まる時間が短いために、十分に消化できずに腸へ送られることになります。食べる量の 1 回量を少なく、数回に分けてエネルギーを補給します。
腸で急速に糖質が吸収され、インスリンが大量に分泌されることでめまいや脱力感などの低血糖症状がおこることもあります。
胃酸には、鉄分をからだに吸収されやすい形に変えますが、胃酸の分泌が減るため鉄欠乏性貧血になります。
カルシウムの吸収も減るため、女性は骨が弱くなる閉経後は運動やサプリメントで骨強化に努める必要があります。
胃がんの治療には、手術だけで 1~2 週間の入院、3割負担で 10~58 万円ほどかかります。化学療法を行う場合は、それにプラスした費用と日数がかかります。
胃がんにならないために
胃がんは予防と早期発見が重要です。ピロリ菌を入れないこと、除菌することも予防につながります。
胃にやさしい食事を摂りましょう。刺激が強いものは避け、油脂分が高いもの、高塩分や加工食品をできるだけ減らしましょう。
お肉などの消化に時間がかかるものは、よく噛んで食べましょう。
よく噛んで時間をかけて素材の味をたのしむことが胃がんの予防につながります。
胃がん検診は2年に1回、胃部エックス線検査もしくは胃内視鏡検査で行われ対象年齢は50歳以上です。40 歳代の希望者に対しては胃部エックス線検査を実施しても差し支えないと厚生労働省は推奨しています。
健診での発見率は 10000 人当たり 12 人程です。胃がんと診断される人は 1990 年に 10 万人を突破し、それ以降も年々右肩上がりで増え続けています。
1 日でも長くおいしい食事をするために、定期的に検診を受けましょう。
ポイント
胃がんは早期の段階では症状が無く、進行しても症状が出ない場合もあります。がん検診で発見されて気づくことがあります。定期的に検診を受けましょう。
・厚生労働省e-ヘルスネット 喫煙とがん
・国立がん研究センター がん情報サービス
・日本医師会 知っておきたいがん検診