栄養・食事

飲み物のカロリーに注目

普段喉が渇いたとき、何を飲んでいますか?

水、お茶、コーヒー、ジュース、炭酸飲料、、、ゴクゴク飲んでいるそのドリンクで、必要以上にカロリーを摂っているかもしれません。

見落としがちな飲み物について見ていきましょう。

その飲み物、砂糖小さじ何杯分?

それぞれの飲み物1本あたりにどのくらいの糖質が含まれているかを砂糖の量で換算した表です。
砂糖小さじ1杯=12kcalです。

WHOでは、1日の砂糖などの糖類の摂取量をエネルギー量の5%未満に減らすと、健康上のメリットが得られるとしています。ここでの砂糖などの糖類とは、飲み物やお菓子などから摂取されるものを指しており、野菜や果物に含まれる糖類は含まれません。
成人の場合、推奨される糖類の量は約25g以下/日(砂糖約小さじ8杯)になります。

表をみると、甘い飲み物を1本飲むだけで過剰摂取してしまうことがわかります。

カロリーゼロ、糖質ゼロの落とし穴

カロリーゼロ、ノンカロリー

ゼロと書かれていても、0kcalとは限りません。100mL中5kcal未満であれば表示することができます。

500mLのノンカロリードリンクは、25kcalはあるかもしれないということです。

糖質ゼロ、ノンシュガー、シュガーレス

糖質ゼロ、も同様に100mL中に0.5g未満であれば糖質ゼロと表示することができます。

500mLの糖質ゼロドリンクには、最大で2.5gの糖質が含まれている可能性があります。

ポイント

カロリーゼロ、糖質ゼロだからといって、たくさん飲んだらカロリーや糖質を摂取することになります。
実際は、全くのゼロにはならないということを覚えておきましょう。

ノンシュガーでも甘くておいしい理由

カロリーや糖質をカットできるのは、人工甘味料を使用しているからです。

人工甘味料は、人が体内で消化・吸収ができないためカロリーがないか、砂糖よりも何十倍~何百倍もの甘みがあり、少量の使用で済むためカロリーを低くすることができます。

ただし、人工甘味料についてはカロリーを抑えられる一方でデメリットもあり、たくさん摂取するのはおすすめできません。

WHOでは、ダイエットや肥満の解消のために人工甘味料を使用しないように勧告しています。

血糖は上がらないけど糖尿病への影響

糖質ではないので血糖上昇効果がないのですが、人工甘味料が腸内細菌叢に変化をおこし、耐糖能障害をもたらすことがわかってきています。

また、腸管にも味覚細胞があり、甘味の感知によってインクレチンが働きインスリン分泌を促進して糖の吸収を促します。しかし実際には糖がない状態のため、インスリンがこのメカニズムが乱れてインスリン抵抗性や糖代謝に影響を与えます。

甘味に対する感受性の低下や依存

人工甘味料は、砂糖よりも強い甘味を持っています。この甘味に慣れると甘みに対する感覚が鈍くなり、より甘いものを求めてしまいます。これにより、より甘いものの摂取量が増えてしまう可能性があります。

満腹感が少なく食べ過ぎてしまう

人工甘味料は、甘味の刺激に対して糖の吸収がないため、脳にエネルギーがいきません。そのため満腹中枢が働かず、逆に食欲が増加してしまい過食を引き起こす可能性があります。

ポイント

糖質ゼロ、カロリーゼロ、だから大丈夫なんてことはありません。
痩せたい、太りたくないなどの気持ちからカロリー、糖質、などの個々の栄養素だけにとらわれず、他の健康被害のリスクにも目を向けて飲み物を選んでみましょう。
血糖コントロールのための代替品としての使用はいいと思いますが、常飲するリスクがあることを覚えておきましょう。

「ブドウ糖果糖液糖」に注意

人工甘味料以外にも、気を付けたい甘味料があります。

とうもろこしやさつまいものでん粉が原料となる異性化糖です。

天然由来の植物が原材料のため人工甘味料には当てはまらず、また添加物にも含まれません。

異性化糖ってどんなもの?

果糖とブドウ糖の混合液で、それぞれ単糖の状態で液体として混ざっています。
果糖の含有量によって、
ブドウ糖果糖液糖:果糖含有率が50%未満のもの

・果糖ブドウ糖液糖:果糖含有率が50%以上90%未満のもの

・高果糖液糖:果糖含有率が90%以上のもの

の3種類があります。
果糖の割合が多くなると、甘味が強くなります。


液体のため混ざりやすく、冷やすと甘みがでるため冷たい加工品と相性がいいです。

そのため、炭酸飲料やジュースなどの甘い飲み物、ドレッシングや焼き肉のたれ、ケチャップなどの調味料によく含まれています。

ブドウ糖果糖液糖の問題は?

果糖は、砂糖よりも内臓脂肪型肥満を誘発しやすい可能性があり、肥満や脂肪肝、糖尿病などのリスクとなることがわかってきています。
また、脂質の多い食事と合わせて食べると、脂肪をより蓄えやすいことが示唆されています。

ポイント

ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖などの異性化糖も糖類です。
含まれている飲み物が多いので、食品成分表示を確認してみましょう。
糖類の摂取量をなるべく減らして健康へのリスクを減らしていきましょう。

参考文献

・農林水産省農産局地域作物課 異性化糖をめぐる状況について
・WHO ガイドライン:成人と子供の糖分摂取量
・日本食品成分表 2020年版

・櫻井勝(2017)「人工甘味料と糖代謝」独立行政法人農畜産業振興機構