栄養・食事
アレルギーで命を落とす危険性!?
最終更新 / 2024.10.04
目次
コップの水は人それぞれ
アレルギーコップ理論という言葉があります。コップに水を注ぎ続けるといずれ溢れてしまいます。同じように、身体にアレルゲンが溜まり続けるとアレルギーを発症してしまいます。そのコップの大きさには個人差があり、子供の時に溢れる人もいれば、死ぬまで溢れない人もいます。特に花粉は無意識に多量に浴びることが多くなったため、高齢になってから発症したという人も少なくありません。
アレルギーについて
私たちの体には、外部からの侵入物(異物、細菌、ウィルスなど)によって身を守るための免疫が備わっています。この免疫の機能が対応できなくなることで、くしゃみや蕁麻疹などの症状を起こしてしまう状態をいいます。アレルギーを引き起こす原因を抗原(アレルゲン)とよびます。アレルゲンは世界中に少なくとも数千種類以上存在すると言われています。ただし、地域や文化によって発症するアレルギーの数は変わります。日本では、血液検査でわかる物だけでも、200種類のアレルゲンがあり、2人に1人がアレルギーに罹っていると報告されています。
私たちは、外部の攻撃からからだを守る防御システムを持ち合わせています。そのシステムで重要なものが免疫と言われるものです。
免疫には細胞外液(血液や間質液)に含まれる体液性免疫と、食細胞やNK(ナチュラルキラー)細胞、細胞障害性T細胞などの細胞性免疫があります。生まれながらに備わっているのが自然免疫、生まれた後に獲得したものを交体といいます。通常は抗原が体内に入ったり接触したりしても、生理活性タンパク質(サイトカイン)が産生され、免疫を調整してアレルギー反応が出ないように制御されます。 しかし、抗体が体に侵入した後、IgE抗体が産生され肥満細胞と結びつくと、アレルギー反応を発症する状態(感作)となります。
身体の中にアレルゲンとなる物質が入ってくると、肥満細胞のIgE抗体がアレルゲンをとらえて、ヒスタミンなどを放出します。これによって異物が入ってきたことをかゆみや鼻水、くしゃみなどで知らせます。更に複数の臓器に全身性のアレルギー症状が出現し、生命の危機につながる反応をアナフィラキシーと呼びます。アナフィラキシーに血圧低下や
意識障害が伴った場合、アナフィラキシーショックといいます。アナフィラキシーショックを起こす最も多い原因は食物で、ショックを起こすまで約30分と言われています。しかし、蜂毒はショックを起こすま約15分、薬剤は5分と短くなっています。
アレルギーを起こすアレルゲンは、大きく分けて5種類あります。
アレルギーの症状は、軽微なものから重篤なものまであります。アレルゲンによって、症状は特徴的です。
発生部位 | 症状 | アレルゲン |
目 | 充血、かゆみ、眼脂、流涙 | ダニ・動物皮屑、ナッツ・豆類、花粉 |
鼻 | 鼻水、鼻づまり、くしゃみ | ダニ・動物皮屑、小麦・ソバ、花粉、 野菜類 |
皮膚 | 蕁麻疹、かゆみ、むくみ、 湿疹、赤み | ダニ・動物皮屑、ナッツ・豆類、肉類 小麦・ソバ、果物類、野菜類、魚・甲殻類 |
呼吸器 | 咳、喘鳴、声がれ、呼吸困難 | ダニ・動物皮屑、ナッツ・豆類、肉類 小麦・ソバ、果物類、魚・甲殻類 |
胃腸 | 嘔吐、吐き気、下痢、腹痛 | ナッツ・豆類、小麦・ソバ、果物類、 野菜類、魚・甲殻類、肉類 |
口腔 | 喉・唇の腫れ、舌のしびれ、 発赤、喉のかゆみ、イガイガ | 小麦・ソバ、果物類、野菜類、魚・甲殻類 |
ソバは突然重篤な症状が出現し、アナフィラキシーショックを起こしやすいアレルゲンです。魚(特にサバ)についてはアレルギー症状が出ても、魚そのものに含まれるヒスタミン食中毒の場合もあります。
花粉症の人は、その花粉に由来する果物を食べたときにアレルギーを発症することがあります。これは花粉-食物アレルギー症候群(口腔アレルギー症候群)と呼ばれています。これに似ているもので、ネコアレルギーを持つ人は、豚肉アレルギーが出る場合があり、ポークキャット症候群と呼ばれます。マダニやツツガムシに咬まれたことのある人は、牛肉でアレルギーが出る場合があります。カシューナッツにアレルギーがある人は、ウルシ科のマンゴーやピスタチオにも注意が必要です。
同じキウイでも、グリーンキウイよりゴールドキウイはアレルギーが出やすく、オレンジ類(ネーブルやバレンシアオレンジ)にアレルギーがあっても、みかん、八朔、グレープフルーツなどの柑橘類ではアレルギーが出ないと言われています。
年間100人以上がアレルギー症状の喘息発作で亡くなっています。 アレルギーは、原因となるアレルゲンを避けることで発症を予防することができます。私たちの体内には、生まれた後にできたIgE抗体という免疫グロブリンを持っています。この総量を測定することで、アレルギー体質かどうかがわかります。また、特異的なIgEを測定することで、自分にとってのアレルゲンがわかります。一度、アレルギー検査を受けておくことをおすすめします。
ポイント
事前にアレルゲンを知ることで、食品に含まれるアレルゲンを避け、アレルギー発症を抑えることが予防法の一つです。また、生物の分類は、種だけでなく科と属でまとめて覚えましょう。
・日本アレルギー学会 公式サイト
・日本アレルギー学会×厚生労働省 アレルギーポータル