病気

お塩の摂りすぎで胃がんに⁉

誰にでも起こりうる可能性が高いがんです

胃がんは年間12万人超の人が診断さています。男女比は約2:1で、50歳を超えると人口10万人あたりの罹患率が増加します。診断を受けた人が5年間の間に死亡する確率は6割を超えており、約4万人が命を落としています。

どうして胃がんになるの?

原因はいくつかあります。

1番の原因はヘリコバクター・ピロリ菌の感染です。ヘリコバクター・ピロリ菌は胃酸が弱く免疫機能が不十分な時期に経口感染すると推測されています。ヘリコバクター・ピロリ菌に汚染された井戸水、ハエなどから付着した食品の摂取などで起こるようです。胃がん患者さんの99%にヘリコバクター・ピロリ菌の感染を認めています。

他にも、食生活との関連が注目されています。男性において、食塩摂取量が高い群は胃がんのリスクが約2倍であったという報告があります。中でもいくらやたらこ、塩辛、練りウニなどの塩蔵物をよく食べる人で胃がんのリスクが明らかに高くなったということです。胃の中のナトリウム濃度が高まると胃の内壁に対する刺激によって粘膜が損傷して胃炎や胃潰瘍となり、発がん物質(塩蔵加工で生成される化学物質など)の影響を受けやすいと考えられています。

また、喫煙者は吸わない人に比べて1.6倍の胃がんのリスクが上がります。喫煙は、胃粘膜の血流が減少したり、胃酸過多を起こしたりします。

胃がんになったらどうなるの?

胃がんは、分化型がんと未分化型がんに大別されます。

分化型がんはがん細胞がまとまりを作るため、進行は緩やかですが、未分化型がんはがん細胞がまとまらずに胃の壁に浸み込むように広がっていくため進行が速い傾向があると言われています。スキルス胃がんは、未分化型が多くを占めます。

胃がんは、粘膜下層にまで達していれば手術で胃の一部もしくは全部を切除しますが、早期発見であれば内視鏡治療で済む場合があります。

内視鏡手術だけで済めば、治療後の日常生活に影響はありません。しかし、胃を切除した後は、胃の容量が小さくなり、その分機能が落ちるため食生活を改善する必要があります。

食べる量の1回量を少なく、数回に分けてエネルギーを補給します。また、胃に留まる時間が短いために、十分に消化できずに腸へ送られることになります。腸で急速に糖質が吸収され、インスリンが大量に分泌されることでめまいや脱力感などの低血糖症状がおこることもあります。

胃酸には、鉄分を体に吸収されやすい形に変えますが、胃酸の分泌が減るため鉄欠乏性貧血になります。カルシウムの吸収も減るため、閉経後の女性などは骨が弱くなるため、運動やサプリメントで強化する必要があります。

胃がんにならないために

胃がんは予防と早期発見が需要です。ピロリ菌の除菌によっても胃がんの予防につながります。

食習慣を見直しましょう

やさしい食事を摂りましょう。刺激が強かったり、油脂分が高かったり、お肉など消化に時間がかかったり、高塩分や加工品などを避け、よく噛んで時間をかけて食事を楽しみましょう。

がん検診を受けましょう

胃がん検診は2年に1回胃部エックス線検査もしくは胃内視鏡検査で行われ、対象年齢は50歳以上です。40歳代の希望者に対しては胃部エックス線検査を実施しても差し支えないと厚労省は推奨しています。

胃がんの治療には、手術だけで1~2週間の入院、3割負担で10万~58万円ほどかかります。化学療法を行う場合は、それにプラスした費用と日数がかかります。

検診での発見率は10000人当たり12人です。一日でも長くおいしく食事をするために、定期的に検診を受けましょう。

参考文献

・厚生労働省e-ヘルスネット 喫煙とがん

・国立がん研究センター がん情報サービス 

・日本医師会 知っておきたいがん検診