病気

若さの源は血管にあり?

血管はただの管ではありません

血管は、全身を巡る血液の通り道ですが、ただ血液が流れているだけではありません。

心臓から全身に送られる血液の通る道は動脈、心臓に戻ってくる血液の通り道を静脈とよびます。動脈は組織内で毛細血管を経て静脈となります。毛細血管は赤血球(直径7~8μm)が1列で通過する程のサイズで、髪の毛の約1/10の細さしかありません。

ここまでは、学生時代に授業を受けた記憶があるかと思いますが、健康維持のためにはここからが大切です。

酸素と栄養の供給、二酸化炭素と老廃物の排出

血管は単なるホースではなく、動脈は全身に血液を送る力が必要なため、弾力があり伸び縮みしやすい性質を持ち、静脈は柔らかく伸びやすい性質で、血液を貯留しやすい性質を持っています。毛細血管は赤血球がやっと通るほどの細さで、細胞との物質交換をするために血管壁は物が通れるように孔(チャネル)があります。

体温の調節

皮膚から外気温を察知して、暑い日は血管を拡張して熱を逃がし、寒い日は血管を収縮して熱を逃しません。外気温に合わせて血管を拡張、収縮することで体温を一定に保っています。

血圧の調節と血栓予防

血管は3層構造で、内側の壁には血管内皮細胞が存在します。この血管内皮細胞は、血流や血圧などの刺激を受けたときに、それらに反応して強力な対応物質を出して血管壁を伸ばし広げて血圧を下げたり、血栓を形成しにくくしたりする働きがあります。

この3つのポイントに挙げた機能が損傷を受けたらどうなるでしょうか?水道管は、時が経つと水垢が溜まったり、水が汚染されていれば錆びたり穴が開いたりして劣化していきます。血管も同じで、年齢を重ねるごとに物質の交換がおろそかになり、血圧や体温の調節ができなくなり、血栓ができるなど、病気の原因を引き起こしてしまいます。

ポイント

血管内皮細胞を損傷する原因には、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化など生活習慣病が関わってきます。逆に、これらを予防することで、血管内皮細胞の障害と血管の老化を抑制し、病気のリスクを低減することにつながります。

血管が生き生きと働くと、体の隅々まで栄養と酸素を充分に与え、老廃物や二酸化炭素をしっかりと捨ててくれます。それだけで身体全体が若々しくなる気がしますね。

生活習慣によって血管は老化する⁉

血管は、生活習慣の乱れによって影響を受けると言われています。 

糖質の摂取量が多いと、血管の老化が進む⁉ 

ごはんやパン・麺類などの炭水化物は、多くのブドウ糖を含みます。ブドウ糖は代謝の過程でブドウ糖分解産物(GDPs)を生成します。これが、血液中で蛋白質とくっついてパワーアップする物質代謝に代わります。これを終末糖化産物(AGEs)とよびます。このAGE達が細胞を刺激してダメージを与え、動脈硬化の原因となるのです。

脂肪分の摂取量が多いと、血管の老化が進む⁉ 

血液検査値が正常でも、脂肪分の多い食事ばかり摂り続けていると、血液中の酸化ストレスが増加し、血管内皮細胞にダメージを与え加速させます。また、若い時には体が頑張って対応しますが、いつしかそれに疲れて対応ができなくなり、肥満や糖尿病のリスクが高まります。そうすると、負のループが出来てしまうので、早めに健康的な食生活を心がけていきましょう。 

高血圧は、血管の老化が進む⁉ 

血圧の高い状態は、血管壁にかかる圧力が高くなっているため、血管内皮細胞に常にダメージを与えます。この状態が続くと動脈硬化のリスクが高くなることがあります。高血圧は、動脈硬化だけでなく、心臓の負担も増加するため、脳や心臓の血管にも影響を与えます。心筋梗塞や脳卒中は治療も時間も費用もかかり、後遺症を患う可能性も高いため、常に血圧に気を付けた生活を心がけましょう。食事は塩分を控えた食事にし、適度に運動をしてストレス発散させましょう。 

これらは、生活習慣の改善で予防できます。大事なことは、基礎代謝量を知り、それに見合う食事と運動を行うことです。1歳でも早く始めて、いつまでも健康で若々しい体を手に入れましょう。

参考文献

・日本動脈硬化学会予防ガイドライン2022