病気
動脈硬化は隠れた脅威?
最終更新 / 2024.09.06
目次
血管が硬くなるとどうなるの?
古くなったホースは、硬くなりひびなどの傷が入ります。このように、血管も年齢を重ねると血管の弾力やしなやかさが低下し硬くなってしまいます。これが動脈硬化です。動脈硬化の原因は、加齢、善玉コレステロールの低下、悪玉コレステロール・中性脂肪の増加、高血糖、高血圧、喫煙、肥満など複数が重なることで起こると考えられています。
動脈硬化の原因と種類
動脈硬化には主に3つの種類があります。
イラストのように血管の内膜が傷ついて、そこに脂肪やLDLコレステロールなどが溜まってお粥状のドロドロ物質(プラーク)を形成することで血管が狭くなります。このプラークが大きくなって内腔が狭くなったり、剥がれ落ちたりして血管を塞ぎます。一番の原因は高脂血症と言われています。
細動脈は直径0.1~0.2mmで、動脈から毛細血管に至る直前の血管です。細動脈硬化の原因は、持続した高血圧です。特に脳や腎臓、目に影響が出ます。
加齢や高血圧が原因で起こり、血管が破裂して脳出血を起こしたり、腎臓の血管の排泄能力が低下して腎不全に繋がったりする恐れがあります。特に、糖尿病をお持ちの方は、目の血管がもろくなって失明につながる恐れもあります。
動脈の中膜にカルシウムが溜まって石灰化病変を生じて硬くなります。喫煙や過度のストレス、慢性的な腎機能障害によっておこることが多く、血管の伸縮がなくなることで圧に耐えきれずに血管が裂け、大動脈解離や椎骨脳底動脈解離などの命に関わる重篤な疾患を引き起こしやすいと考えられています。
血管だけの問題ではない!
血管は全身に張り巡らされ、細胞や組織に酸素と栄養を送り込む大事な役目があります。私たちが生活する上で無意識に使っているお水も、もし水道管が割れて水が供給されなくなったら、食事もトイレもお風呂も自由に使うことができず、生活に支障をきたします。からだも同じで、動脈が詰まったり破れたりすると、そこから先の細胞や組織に酸素と栄養が十分に供給できなくなります。栄養が十分に行きわたらなくなると細胞は弱り、身体の機能が正常に働かなくなってしまいます。
血管はただ血液が流れているのではなく、血液を全身に巡らせながらからだを動かし、外部からの攻撃に備える重要な臓器です。
動脈硬化は全身に起こりますが、特に細い血管に影響します。足先などの細い血管が更に細くなると血流が減ることで足が冷えたり、循環が悪くなることでむくみが出たり、酸素が交換されにくくなると歩くのが重だるくなったりします。
血管が詰まったら、そこから先への血液が途絶え、細胞への栄養や酸素の供給ができなくなり、細胞が死んでいきます。日常生活に支障を及ぼす状態になると、仕事がままならずに収入は減り、サポートする家族の負担が増え、福祉サービスなどの利用で出費も増えていきます。何より自分の意志通りに体が動かないことへのストレスは計り知れないものです。
動脈硬化で起こる病気は?
動脈硬化自体が直接死に関わるわけではないですが、主に脳・心臓・腎臓に影響を及ぼします。
動脈硬化が進んで脳の血管が狭くなると脳梗塞のリスクが高まります。脳梗塞は、脳細胞を壊死させて、片麻痺(右もしくは左側の半身)、意識障害、言葉がでないもしくは呂律が回らなくなります。そのような障害が残れば、長期間のリハビリが必要で、日常生活を完全に取り戻すことは難しくなります。
心臓の血管が詰まって、心臓に栄養を送ることができなくなると、心臓を動かす筋肉が壊死を起こします。締め付けられるような胸の痛みがあり、痛みが広範囲に広がり、安静にしても苦しみ悶えることもあります。治療までに時間がかかると、心臓が全身に血液をうまく送れず、特に脳への酸素供給が低下し、障害が残る可能性があります。治療後は、息切れや倦怠感などが生じるため、リハビリをしたり日常生活の見直しが必要です。
腎臓の糸球体にはフィルターとしての役割がありますが、その機能が低下することで尿や老廃物を排泄できなくなります。腎臓の機能が低下すると、からだに水や毒素をため込み、いずれ腎不全へと進展していきます。腎不全になったら、生きるためには移植や透析などが必要になり、日常生活や社会生活において自由度が低下します。
動脈硬化は避けられない⁉
動脈硬化は、老化現象の一つです。老化を加速させるリスクとなるものに喫煙、飲酒、高血圧、糖尿病、脂質異常症があります。動脈硬化は20代からの予防が大事です。喫煙者はまず禁煙に向けて取り組みましょう。また、動脈硬化のリスクを高める原因の一つであるストレスを溜めないことです。
ポイント
ストレスは、煙草の本数を増やし、食べる量も増やします。その上、睡眠時間が短く、起きている時間が長いと更に飲酒、喫煙、喫食をする時間が増えます。これらが重なるとリスクが上がるため、働き方を見直し、休息を十分に取る、ストレスの解消法としてスポーツやジムで汗を流すなど、健康的な生活に変えていきましょう。また、日々の食事も影響します。バランスの良い食事と時間栄養学で動脈硬化予防に努めましょう。
・一般社団法人 日本動脈硬化学会ホームページ 動脈硬化性疾患とは?
・一般社団法人 動脈硬化予防啓発センター 知っておきたい動脈硬化
・厚生労働省e-ヘルスネット 動脈硬化