病気

心臓は血液で動いている!

冠動脈が動かしている?

心臓は全身に血液を送るポンプの役割を担っています。

心臓は筋肉で構成されていて、心臓が働くためには心筋を動かすための栄養が必要です。心筋に栄養を供給する血液が流れる血管は冠動脈です。冠動脈は、枝分かれをしていて、それぞれ右と左に栄養を送っています。冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心臓へ栄養を十分に送ることができなくなり、心臓が弱ってしまいます。

冠動脈が詰まったら?

冠動脈が狭くなったり詰まったりする状態を虚血性心疾患といいます。虚血性心疾患は狭心症と心筋梗塞に分けられます。

 狭心症心筋梗塞
冠動脈の状態狭くなる完全に詰まる
症状胸の痛みや圧迫感締め付けられるような激しい痛み 呼吸困難
痛みの持続時間1~5分、長くても15分程度 安静にしていれば消える20分以上 安静にしていても治まらない
どんなときに起こる?息が上がる行動をしたとき 階段昇り、早歩き、自転車こぎ安静にしていても起こる

狭心症は放置すれば心筋梗塞のリスクが高まり、心筋梗塞は再発のリスクが高い病気です。死んでしまった細胞は元には戻らず、心筋梗塞を繰り返すとその範囲が広くなり心不全や死に至る危険な病気です。

日本における死因の第2位は心臓疾患です。そのうち冠動脈疾患の死亡数は約67000人と報告されています。冠動脈疾患になった後は、食事療法、服薬、運動療法、禁煙など長期にわたって心臓リハビリテーションを行う必要があります。手術をしたら終わりではなく、厳重な再発防止に努めなければなりません。

どうして血管が詰まるの?

冠動脈を詰まらせる原因は動脈硬化で、脂質異常症、肥満、高血圧、糖尿病、喫煙、ストレスがリスクとなります。特にたばこは動脈硬化の発症が早く、心臓だけでなく脳卒中のリスクも高めます。

たばこはなぜ悪いのか

たばこの煙にはニコチン、一酸化炭素、一酸化窒素、シアン化水素、活性酸素などの有害物質が含まれます。ニコチンは、血管内皮の損傷や血栓形成の要因になります。活性酸素は、動脈硬化や血栓の形成を促し、生活習慣病を悪化させることがわかっています。また、酸素の供給量が低下して組織へ充分に酸素を届けることができないため、加齢を加速します。

ポイント

仕事の合間の一服でストレスを解消しているように思えますが、たばこは「心臓やぶり」と言われるほど、体に害しかありません。低タール、低ニコチンのたばこに変えてもリスク低下はなく、禁煙が最重要です。

禁煙後1年で大幅なリスクの低下がみられ、再発率が減少するという報告もあります。

血管が詰まらないようにするためには

生活習慣の改善と、喫煙者は、少しずつ本数を減らして禁煙することが第一です。心臓の平均的な重さは、体格によって差はありますが200~300gです。肥満の方の心臓は、軽自動車のエンジンで大型トラックを動かしているようなもので、大きな負荷がかかります。適正体重の維持、食事、運動、休息を見直して、いつまでも若々しい血管を保つ努力が、冠動脈疾患の予防につながります。

参考文献

・厚生労働省e-ヘルスネット 喫煙と循環器疾患 冠状動脈性心疾患
・国立研究開発法人 国立循環器病研究センターホームページ 虚血性心疾患