病気
腎臓は若々しさのカギとなる?
最終更新 / 2024.09.06
腎機能の低下は老化を速める?
お酒を飲みすぎたら肝臓、食べ過ぎたら胃や腸、激しい運動をしたら心臓や肺など、時に臓器の存在が気になります。しかし、食べ過ぎたから、飲みすぎたからと腎臓を気にしたことがあるでしょうか?腎臓は体重の約60%の水分を24時間年中無休で絶えずきれいにしてくれる「排泄器官」です。腎臓の排泄能力が低下すると、体内に不要な物質が毒素となり、新陳代謝が低下し、水分バランスが崩れて、乾燥、シミ・シワ、吹き出物、肌が荒れるなど、若々しさを保てなくなります。
腎臓は何をしてるの?
腎臓は、毛細血管でできた0.1mm/個の糸球体が1つの腎臓に約100万個存在しており、絶えず不要物の排泄と必要なものの選別を行っています。日本人の糸球体の数は、欧米人に比べて2/3程のしかありません。また、出生時体重が軽いほど糸球体の数は少ないと言われています。
腎臓は排泄だけでなく、腎臓に流れる血液の量を感知して血圧を調節したり、骨を形成するビタミンDを活性化したり、血液を造るよう指示するホルモンを出したりします。加齢とともにビタミンD活性が弱まると骨粗しょう症のリスクも上がり、体内外ともに若々しさが保てなくなります。
腎臓はもはや「排泄器官」ではなく「体内調整器官」と言っても過言ではありません。
からだにとって大切な器官は2つずつあると言われています。腎臓はその中の一つです。一つがなくなったとしても残りの一つで役割を果たすことができます。
しかし、腎臓は繊細な臓器で、血糖が高い状態、脂質異常、高血圧、動脈硬化や加齢によって腎機能は低下していきます。糸球体を形成している血管が損傷を受けることで、排泄と体内調整がうまくいかなくなるのです。腎臓が一つになると、残った腎臓に大きな負荷がかかります。
腎臓の機能が落ちると、不要な物質が体内に蓄積してしまい、生命維持ができない状態に陥ります。腎機能がなくなると、透析や腎臓移植をしないと生きることができません。
腎臓は、1日にドラム缶1本分(約150L)の血液をろ過し、濃縮して尿を作り出します。この処理量が約60%になると慢性腎臓病(CKD)と診断されます。慢性腎臓病が進行すると、生命維持ができない状態の腎不全に陥ります。日本では1300万人以上がCKDという状態にあります。
腎機能は徐々に低下していき、元に戻ることはありません。腎機能が無くなったら、腎臓の代わりをする治療が必要になります。排泄以外の腎臓の機能は、お薬で対応することができますが、身体から余分な水を排泄する、代謝で出た不要な物質を外に出すことは薬で賄うことはできません。尿を作る、尿を出すという機能は代替療法という形で対応されます。
尿は、身体にとって余分な水分と毒素(老廃物)で出来ています。毒素が排泄されないと、肌が痒くなったり、フラフラしたり、頭が重かったり、食欲不振などが出てきます。水分が排泄されないと、むくみや貧血、動悸・息切れなどを起こします。
代替療法には、水分と毒素を出すことを目的とした透析療法と、全ての腎機能を取り戻す腎移植があります。透析には血液透析と腹膜透析の2種類があり、約35万人弱が透析を受けており、年間4万人が新規で透析に入ります。
腎移植は親族からの生体腎移植と亡くなった方からの献腎移植の2種類があり、年間2000例ほど行われています。
<血液透析>
週に3回通院し、1回約4時間、ベッド上で透析を受けます。
爪楊枝大の針2本を腕などに刺し、からだから血液を抜いて浄化し、浄化された血液を身体に戻す方法です。
<腹膜透析>
通院せずにできる透析です。
お腹の中に入れた管から透析液を入れて、からだの中の毒素と水分を抜き、一定時間溜めた後にからだの外へ排泄します。
1日に3~5回、1回30分かけて毎日行われます。
どちらの透析療法も、天寿を全うするまで続けます。
腎機能を高めるにはどうしたらいいの?
腎臓は沈黙の臓器。徐々に低下した腎機能を元に戻すことはできませんが、日々の健康管理によって機能低下の速度を抑えることはできます。
より長く若々しくいるためには、健康管理と定期的な腎機能チェックをお勧めします。
ポイント
・定期的に腎機能のチェックをしましょう
・プロテインの摂りすぎに注意しましょう
・水分は適度に摂りましょう
・塩分を控えましょう
・たばこをやめましょう
・ストレス解消に努めましょう
・血糖値や血圧が上がらないようにしましょう
コーヒーを日常的に飲んでいる人は、飲まない人達よりも腎機能が高いと言われています。
からだにとって要らないものをスッキリ出して、若々しさを保ちましょう。
・一般社団法人 日本腎臓学会 腎臓お役立ちページ
・一般社団法人 日本移植学会 データで見る臓器移植