ナッジの考える健康
超加工食品を知っていますか
最終更新 / 2024.09.25
目次
私たちが普段食べているものは、家庭で調理する料理、カット済の生野菜、調理済のお惣菜やお弁当、チンするだけの冷凍食品、調理して提供されるレストラン、ファストフードなど、どこかでなにかしらの「加工」がされています。
「加工」には、切る、茹でる、冷凍するなど食品の形状や形態をかえる加工や、抽出する、精製する、分離する、などの食品の一部を取り出す加工、複数の食品を組み合わせて調理する加工、工業的に複数の食品を混ぜる、添加する、成形する加工など、様々な種類が存在します。
最近の研究では、この加工の度合いが高い「超加工食品」は、健康に対する悪影響のリスクが高くなることがわかってきています。
加工食品を全くとらない生活は難しいですが、加工食品の特徴と程度を知って、食事選択の参考にしてみてはいかがでしょうか。
超加工食品とは
超加工食品とは、複数の食材を工業的に配合して製造された、加工の程度が非常に高い食品のことです。
食品の加工度合いによって分けたNOVA分類では、グループ4に該当するものを超加工食品としています。
定義の概要 | 特徴 | 食品・料理の例 | |
グループ1 | 未加工または最小限加工(冷凍・乾燥・煮沸など)された食品 | 料理の食材となり、家庭で調理されるもの | 自然から撮られた植物性食品(種実・果物・葉・茎・根)、動物性食品(魚・肉・卵牛乳)、きのこ、海藻類、米、穀類、豆類など |
グループ2 | グループ1から抽出・圧縮・分離・精製などの工業的工程によって得られた食品 | グループ1と組み合わせて料理を作る材料となるもの(調味料、下味つけなど) | 油、砂糖、食塩、はちみつ、バター、醤油、味噌、みりん、酢、など |
グループ3 | グループ1とグループ2を加えて作られた製品 保存期間を延ばす、味や形状などの品質を改良するなどの加工が行われる | 2~3種類の食品が組み合わさったもので、食材が特定できるもの | 焼きたてのパン、チーズ、ハム、ピクルス、缶詰、シロップ漬けの果物、塩漬け・乾燥・燻製した肉や魚 |
グループ4 | 工業的工程を経て作られる原材料の配合 家庭では使用されない食品物質や添加物が含まれ工業的に加工される | すぐに食べられる、温めたら食べられたりするもので、グループ1の食品の形がほとんど残っていないもの | 炭酸飲料、ポテトチップスなどのスナック菓子、チョコレート、菓子類、アイスクリーム、市販のピザやナゲット、ハンバーガーやソーセージなどの再構成肉製品、市販のパン、エネルギーバー、インスタントのソースやスープ、パスタやピザ、餃子などの調理済み・加熱調理済み製品、市販のおにぎり、お弁当、加糖ヨーグルト、ドレッシングなど |
超加工食品の特徴
超加工食品には複数の成分が配合されており、通常の食材には含まれていない添加物や保存料、香料、人工甘味料などが多く含まれています。
これにより、保存期間が長くなり、長期保存をしても味が落ちず、食管や風味を豊かにする効果がありますが、食材の自然さが失われてしまいます。
多くの超加工食品は、エネルギー、塩分、砂糖、飽和脂肪酸が多く含まれ、食物繊維、ビタミン、ミネラルが少ない傾向にあります。
そのため、超加工食品を多く摂取している人は、栄養バランスが崩れやすくなります。
調理が不要で、すぐに食べられるため、忙しい現代人にとっては手軽に食事が摂取できて便利な食品です。
冷凍食品やインスタント食品、菓子パン、コンビニのお弁当、ホットスナックなどがあげられます。
超加工食品のリスク
量に対してエネルギー量が大きいため、少ない量で高カロリーの摂取が可能です。そのため、エネルギー過多になりやすく肥満の原因となります。
加工が少ない食品の摂取と比較して、食欲抑制ホルモンの働きが少なくなるため、食べ過ぎてしまうことがわかっています。
また、未加工食品の摂取に比較して、満腹感が少なくなるため、満腹感を得るために過食してしまうこともわかっています。
超加工食品を多く含む食事は、高カロリーで低栄養の傾向があります。そのため、食事の質が悪くなり栄養バランスが崩れてしまいます。
また、未加工の食事を摂取する人に比べて、ポリフェノールやアントシアニンなどの体にとって有益な生理機能化合物の摂取量も少ないことがわかっています。
超加工食品に含まれる添加物は、腸内細菌叢に影響を及ぼします。
乳化剤や、低カロリー甘味料(スクラロース、アスパルテーム、サッカリンなど)は、腸内細菌叢のバランスと多様性を乱すことがわかっており、腸の炎症や、過敏性大腸炎のリスクが高まることがわかっています。
超加工食品に分類される炭酸飲料やジュースに多く含まれている人工甘味料のアスパルテームは、インスリン抵抗性に影響があり、2型糖尿病のリスクが高まることがわかっています。
超加工食品の摂取が多いと、睡眠への影響や、不安症、うつ病などの精神障害の発症率にも影響があることが示唆されています。
安全性が確認されている食品添加物ですが、複数の食品添加物が組み合わさることで、個々の添加物の作用が単独で使用された場合よりも強く、あるいは予測できない形で健康への影響が増幅される可能性があります。
乳幼児期には、さまざまな食感と風味の食品を与えることが推奨されている中で、同じような食感で甘味が強い超加工食品の摂取は、食品の認識の喪失、咀嚼スキルや味覚の発達に影響があることがわかっています。
超加工食品との付き合い方
忙しい現代の生活の中で、未加工の食品から毎食調理をすることは難しいです。
ただし、少なからず健康への影響があることがわかってきているので、なるべく減らそうとする意識持っておくといいのではないでしょうか。
・未加工やなるべく加工の少ない食材、食品を選ぶ
野菜や果物、ナッツ類など、素材のままのものを選びましょう。
・原材料表示をみて選ぶ
その食品には何が含まれているのか、原材料表示で確認することができます。
自分が調理するときに使用することのない原材料(例えばpH調整剤、乳化剤、香料、保存料など)が入っているものは、工業的に配合された超加工食品の可能性が高いです。
・食材や原材料がわかるものを選ぶ
調理済みのものを購入するときは、食材の原型がわかるものを選びましょう。例えば、ナゲットやハンバーグなどの成型された肉より、チキンやロースカツなどの1枚肉を加工したもののほうが、食材がそのまま使用されています。
・私たちの体は、食事から作られています。
どんな生活を送りたいか、どんな体になりたいか、食品・食材選びから考えてみましょう。
・https://bmjgroup.com/consistent-evidence-links-ultra-processed-food-to-over-30-damaging-health-outcomes/
・https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-077310
・https://www.soilassociation.org/media/21669/ultra-processed-foods_soil-association-report.pdf